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マイナンバーは扶養控除等申告書に記載が必要か?【社労士コラム】

社労士によるマイナンバーセミナー

昨年の春先から準備を進めていたマイナンバー制度、いざスタートしてみると肩透かしにあった感覚を、多くの方が感じられていらっしゃるのではないでしょうか。通知カードの遅配、制度の変化、相次ぐ詐欺、どれをとってもみなさんの社会生活に不安の影を落とすような報道ばかり。これでは不安になるなという方がおかしくも感じてきます。

しかし、それでもマイナンバーはスタートを切り、今後の社会の一旦を担うアイテムとなっていくとされています。今は三分野のみの利用にとどまりますが、民間に開放された後は、国としては付加価値を高め、適切な規律の下でのビッグデータの有用性の確保を講じ、国民生活の利便性を更に図るようなことも言われています。
今は面倒なことととらえがちですが、IT技術があっという間に進化を遂げた今日を考えると、ストレスフリーな生活が待っているかもしれません。将来に向かって対策を取っていきたいものです。

マイナンバー制度施行前の修正・改正

さて、新しい法律が施行される際には、その前後に修正や改正が行われるのはよくあることですが、今回のマイナンバー法も同様に、施行前に様々な修正がなされました。

マイナンバーと扶養控除等申告書

扶養控除等申告書には、下記に示す条件の元にマイナンバーを記載しなくてもよいことや、本人に交付する源泉徴収票にはマイナンバーを記載しないなど、実際の運用のルールに沿って考えていくと、簡略化された対応になってきました。

Q1-9 扶養控除等申告書の個人番号欄に「給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨の記載をすることで、個人番号の記載に代えることはできますか。
(答)
平成28年1月以後に提出する扶養控除等申告書には、従業員本人、控除対象配偶者及び控除対象扶養親族等の個人番号を記載する必要がありますので、その記載内容が前年以前と異動がない場合であっても、原則、その記載を省略することはできません。
しかしながら、給与支払者と従業員との間での合意に基づき、従業員が扶養控除等申告書の余白に「個人番号については給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨を記載した上で、給与支払者において、既に提供を受けている従業員等の個人番号を確認し、確認した旨を扶養控除等申告書に表示するのであれば、扶養控除等申告書の提出時に従業員等の個人番号の記載をしなくても差し支えありません。
なお、給与支払者において保有している個人番号と個人番号の記載が省略された者に係る個人番号については、適切かつ容易に紐付けられるよう管理しておく必要があります。
出所:国税庁 源泉所得税関係に関するFAQより

この扶養控除等申告書は、入社時や年末調整時に必要となるものですが、一旦そこにマイナンバーが記載されることで特定個人情報となり、その保管義務が問われることになります。また、源泉徴収票においても、何らかの手続きの際に収入証明として提出することも考えられることから、マイナンバーが記載されることに懸念がありましたが、それも記載しなくてよいとなりました。

実際に事務取扱いをする担当者から見れば、その重大な責任を問われることにもなりかねませんので、この対応はよかったと言えます。
雇用保険の手続きもスタートし、来年以降には社会保険の手続きにも利用されていくにあたり、今後また何らかの緩和措置が施されるのではないかと考えられます。少しでも軽減されるといいのですが、保管等の安全管理体制に変わりはありませんので、その点はご確認いただきたいところです。

扶養控除等申告書の提出について

そして、この扶養控除等申告書、サラリーマンでも副収入がある方や、複数の勤務先から給与を得ていた方にとってはより重要となり、今後の取扱いについても注意をしなければなりません。仮に、今まで副収入について申告をしていなかったり、複数のアルバイトを掛け持ちしたりしているケースで、扶養控除等申告書を提出していなかったとすると、今後はその方の収入もマイナンバーによって自治体が把握することになります。

これまでも、申告が適正でなかった場合には、数年後に修正申告の通知が届きましたが、今後はこれもスピーディーに処理がされると考えています。そうなると、今まで扶養控除等申告書を出さずに給与を得ていた方は、源泉徴収税額表の「乙欄」の適用となり、源泉税がこれまでより多く控除されることが想定されます。

あまり注目されていなかったこの書類ですが、簡単に言えば、扶養控除等申告書は、給与から天引きされる所得税を高い税率で引くか、低い税率で引くかを決めるための書類です。正社員・役員・アルバイト等関係なく、扶養控除等申告書が提出されれば「甲欄」という低い税率、提出がされなければ「乙欄」という高い税率が適用されます。

書類の提出があるかないかで、以下の表のように、税金の引かれる額が大きく変わります。
無用のトラブルを回避するためにも、副収入があり働いている方やパート、アルバイト等で掛け持ちをしていそうな方には、あらかじめこの点を周知する必要が出てきます。

【給与額95,500円の場合】

提出した場合
(『甲欄』適用)
提出がない場合
(『乙欄』適用)
給与額(交通費抜き) 95,500円 95,500円
税金(所得税) 490円 3,400円
手取り額 95,010円 92,100円
1か月の差額 2,910円
1年間の差額 34,920円

複数の収入がある場合には、翌年確定申告を行っていただき、税金の過不足を調整していただく必要がありますので、この新しい年から注意を喚起してはいかがでしょうか。


【コラム執筆者】
福島紀夫マイナンバー推進協議会 特別会員
社会保険労務士法人 相事務所
福島 紀夫


 

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